作品解説 Part1 第4話
https://milkynapoly.hatenablog.com/entry/2020/04/07/000000
の続き
暫くブログ書けてなかったのでまとめて更新させてもらいます
作品URL
第4話「ステレオフォニックの謎 その2」 | kyc #pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6890367
能力はまず『答え』から
VSロコちゃんエピソードの中編に当たる第4話。
ここでは前回のラストでその『謎』の正体を覗かせ始めた『ステレオフォニック』と百合子の『リリィ・ナイト』が本格的にぶつかり合います。
前回も話した通りこのエピソードは新しい敵(ロコ)に新しい味方(百合子)が立ち向かうという役目を担っているので
まずそもそも強制的にタイマンの構図になる流れを意識して作る。
そしてロコちゃんの『謎』という側面を強調させるため
戦闘に特化した新たなロコアート『アイソトニック・チューン』を登場させます。
やはり新たに立ちはだかる強敵、というポジションなので
百合子にはそこそこ苦戦してもらう必要があった訳ですが
そういう相手の能力を考える時はまずその敵がどう敗北するかから考える。もしくは、どんな風に打開策を見出すか。
今回の場合考えたのは
- 百合子は一人の状況ではあるが、携帯電話を通して昴と連絡が取れる
- 百合子の能力は人や物を浮かべられるほど強い『風』を操ることが出来る
辺りのポイントを元に、ここにしか抜け道が存在しない能力、というのを思い描いていきます。
こうすることで百合子側がギリギリで活路を開いていく演出を作りやすくなります。
最終的な突破口を予め用意しておくことで、そこに至るまでの思考の流れも工夫することが出来ますよね。すんなりとそこへ辿り着くのか、幾つかの勘違いを踏んだ上でそこに辿り着くのか……そういったパターンをシナリオに従って使い分けることが出来ます。
今回は上記2つのポイントを
1つ目は『アイソトニック・チューン』の正体を看破する鍵に、
2つ目は教室での戦いから抜け出す鍵に利用するという形でシナリオと能力を考えました。
つまりは一度は答えに辿り着いた、と百合子(及び読者)に思わせておいて、その後ひと波あるって具合ですね。
逆にこれがすんなり通ってしまうパターンは後のまつり戦のエピソードなどで使ったりしています。
『アイソトニック・チューン』について
ロコちゃんには能力名として使えそうな魅力的なキーワードが沢山あるので色々悩みました。
そもそも彼女の能力が、謂わば複数の能力を扱える形のものに仕立て上げたのもそれが理由だったりします(そうすれば沢山の候補を形にすることが出来るので)
『アイソトニック・チューン』はロコちゃんのソロ曲『STEREOPHONIC ISOTONIC』から取っています。
どちらかというと能力名『ステレオフォニック』の元ネタになる訳ですが
ロコちゃんが百合子戦で使うこの能力を彼女のメインの戦闘スキルに仕立て上げたかったので同じところから取ったっていう経緯があったりなかったり。
これによりロコちゃんが能力を発現させながら戦闘態勢に入るとき、「ステレオフォニック to(からの) アイソトニック!」って言わせることが出来るのです(響戦で使ってます)
『アイソトニック』だけだとなんか寂しいので、少し語感の良い言葉を付け加えようと思って『アイソトニック・チューン』としました。これは何気に初めての命名に関するオリジナル要素だったと思います。
『アイソトニック・チューン』は同音、ないし同音の調律を意味するので、そこから「相手に合わせること」を強みとする能力……即ち相手の動きに同調して動く、という特性が生まれました。
この辺りのアイデアは本家ジョジョでお馴染み『シアー・ハート・アタック』のアイデアをかなり真似た部分がありますね。
因みに『動く速度』という部分をターゲットにしたのは、上記でも触れた
- 百合子は一人の状況ではあるが、携帯電話を通して昴と連絡が取れる
という部分を活かすため、彼女が「携帯のバイブレーション」という意外な要素に救われる展開を作りたかったから。
このまま「動きに反応する」という要素だけ残せれば綺麗だったんだけど
そこを上手く纏められなかったのが少し反省点かな……という気持ちです。
という訳で第4話については以上です。
能力を考えるイコールシナリオを考える、みたいなものなので
思い出していくと懐かしさと楽しさが込み上げてきますね。
ロコちゃんエピソードは次の5話まで続くので、そちらの解説も是非目を通して頂ければと思います。
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ではでは。
Part2の執筆も進めていかないと……
kyc