作品解説 Part1 第7話
https://milkynapoly.hatenablog.com/entry/2020/04/13/000000
の続き
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第7話「スーパー・サイズ・ラヴ!」 | kyc #pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6973698
何故佐竹美奈子なのか
第6話後半で突如登場する佐竹美奈子。
彼女はまずソロ曲名の『SUPER SIZE LOVE!!』が僕の能力名にしたいセンサーに引っかかって、構想のかなり早い段階で登場させることは決めてました。多分、主人公サイドの面々よりも先だった気がします
美奈子ちゃんも大概キャラを掴みかねていたので、オリジナルのキャラ設定に乗せつつ原作の彼女に対する(当時の)僕のイメージを詰め込んだ形で登場させました
(因みにこのイメージというのは作中で杏奈ちゃんが初対面で彼女に抱くそれにほとんど一致しています)
何故美奈子をこのタイミングで(しかも敵役で)登場させたのかというと
彼女はゲームが趣味っていう設定があるので、既に固めていた杏奈ちゃんの能力と合わせて
- 美奈子の能力で杏奈を二人だけの固有結界的なモノに閉じ込める
- 彼女の趣味を元に、ゲームの中みたいな世界が作られる
- 本来ならば閉じ込めた相手は何も出来ないが、杏奈ちゃんの『ビビッド・ラビット』は電子世界で動けるスターヴィジョンなので、例外的に発現出来る……
といった具合に、『ゲーム』という共通点を元に二人を戦わせる構図を考えていました。
主人公サイド最後の一人である杏奈ちゃんの登場エピソードなので、彼女がメインの戦闘回にしようと思ってた訳ですね。
百合で全て解決
そんな感じで進める予定だった杏奈ちゃんエピソードですが
美奈子ちゃんの能力を上で書いてるようなものに落ち着けるのが難しくて断念しました。
『ゲーム』というテーマはあるものの、ただ相手を閉じ込めるだけの能力にしてしまうとそこで完結してしまって、その先の展開が思い付かなくなってしまったんですよね。
しかもゲーム対決みたいにしようとすると本編から逸れた完全に別のシナリオを考える必要があるし(そういうのも書いてはみたいが)
杏奈ちゃんの『ビビッド・ラビット』側にも何かしら新しい動きが必要になってきてしまう。そうしないと電子空間という舞台が特殊なだけで、二人の勝負自体は実に単純なものになってしまう。
という訳で当初の予定を崩し、美奈子ちゃんの能力とシナリオを考え直すことにします。
『スーパー・サイズ・ラヴ』の名の下に、元ネタの歌詞とかも参考にして『愛の力』をキーワードにした能力を考えました。読んでくれた方で気付いてくれた方がいるか分かりませんが、ジョジョ4部の『ザ・ロック』を参考にしています。
この能力を元に美奈子ちゃんの新たな戦い方を考えたので
彼女に誘惑されていくさながら男子中学生のような杏奈ちゃんを書くことが出来てとても楽しかったです。
それを見守る(?)ゆりロコの二人も合わせて、コミカルでギャグっぽい展開からシリアスなバトルに切り替えていくという波を作れたのもよかった。良いこと尽くめです。
何よりも百合概念が当然のように存在する世界観で文を書くことの快感たるや。
僕の趣向+アイマスで二次創作する以上いつかはそういう方向に流れるだろうと自分でも思っていたけれど、ここまであからさまなものを投入した(出来てしまった)ことで枷が外れてしまった感がありました。
結果、書くのが楽しすぎてPart1最長の2万7千字を叩き出すことになる(そしてこの記録が更新されることはPart2の中盤まで暫くなかったのだ)
『ビビッド・ラビット』の立ち位置を確立する
新しい『スーパー・サイズ・ラヴ』による一番の恩恵は
変更前の一番大きな課題でもあった、先の展開が作れないという部分を打開出来たこと。
当初の設定だと、杏奈ちゃんも少し特殊な戦闘メンバーって立ち位置で真に非戦闘員として考えていたのは朋花だけだったんですね
でも上記の通り杏奈ちゃんないし『ビビッド・ラビット』の戦闘を描写するのは難しい、と思っていっそ彼女には直接の戦闘手段を一切持たせないようにする、という方針を固めました。
これが中々に功を奏して、物語を通しての味方サイドの立ち位置や役割を固めてくれるのに役立つことに
杏奈ちゃんはあくまでも皆をサポートするための動きを見せる……そしてそんな立場だからこその活躍も出来る、と考えてからは色々なシナリオが思い浮かんで、結果としてこの第7話の結末だけでなく後の響戦などにも繋がる沢山のアイデアを得ることが出来ました。
結局、分かりやすく戦闘向きのキャラクターを軸に考えられる話もあれば
全く戦闘は出来ないけれど特殊な能力を持っているキャラクターからしか考えられない話の筋もあるので
単純な性格とかパーソナリティは別として各々の能力の性質や役割をバラけさせることは、話の幅を持たせるという意味で能力バトルには大事なものだなと強く実感したのでした。
第7話は正直語り尽くせないほど色々自分の中ですべてが上手くいったって言えてしまうエピソードなんですよね。
総じて前回登場したロコと新しく登場した杏奈ちゃん、二人の能力の特色を上手く使った上で、能力バトル(に限らない気もするが)の醍醐味とも呼べる、伏線回収からの逆転を綺麗に演出出来たってのが凄く満足出来たポイントだと思います。
本当にこのエピソードを書き切れたことが、『スターダストシンフォニー』を完結させるまでのモチベを保つことが出来た要因そのものだと思ってます。そんくらい気に入っているお話です。
という訳で今回はこの辺で。
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作品解説は「当時どんなこと考えながら書いてたか」を掘り起こそうとしてるんですけど
最早すっかり昔のことなので、思い出す作業だけで一苦労ですね。。。
kyc